英会話クラスだより +

植物: セイヨウシロヤナギ

マシューの謎の行動のために、心をかき乱されたレイチェル夫人は、真相を確かめにお隣のグリーン・ゲイブルズをたずねます。
マシューと一緒に住んでいるマリラに問いただすためです。
「問いただす」というのは、少し大げさな表現かもしれませんが、レイチェル夫人は何でも知らないと気がすまない人なのです。内心はそんな感じだったことはありそうです。

さて、グリーン・ゲイブルズに行くのに、レイチェル夫人は、初めは玄関へと続く道を歩いていましたが、近道をしてマリラの家の裏庭を通って行きます。
裏庭の様子が描写され、住人の性格がそこから読み取れます。
その裏庭の片側には柳が列をなし、反対側にはセイヨウハコヤナギが並んでいます。


裏庭は、一面緑におおわれ、きれいに細かなところまで手入れされ、片側には年老いた何でも知っているような大きなの木が並び、もう一方には上品に澄ましたようなセイヨウハコヤナギが列をなしていた。


この「柳」と「セイヨウハコヤナギ」が曲者です。

まず、「柳」です。

日本人のほとんどの人は「柳」と聞くとシダレヤナギを思い浮かべると思います。水辺に枝を幽霊のように垂れて、時々は幽霊もお伴をするあの「柳」です。このシダレヤナギは、学名を Salix babylonica といい、実はプリンス・エドワード・アイランドには生育していません。
柳はヤナギ属に属の品種は100種以上にも及びます。その中で、プリンス・エドワード・アイランドに自生しているのは、15品種だけです(アメリカ農務省のデータによる)。

グリーン・ゲイブルズの裏庭に並んでいる柳は、「年老いた何でも知っているような大きな柳」です。原文では”great patriarchal willow” ですから、どっしりした家長的な感じのする柳なのでしょう。
したがってある程度大きな柳を15品種の中から選ぶと2品種が「候補」に残ります。
クラックウィローとセイヨウシロヤナギです。どちらも、10m以上になりクラックウィローは、20mまで、セイヨウシロヤナギは、30mまで高くなります。
向かい側にそびえているセイヨウハコヤナギの樹高も20~30mだという事を考えると、ちょうどつり合う高さだということになります。
クラックウィローとセイヨウシロヤナギは幹の直径が1mにもなるので、堂々とした「家長的な威厳」を示すにはぴったりです。
残りの品種は、高いものでせいぜい10m、でなければ灌木です。(公正な記述のために: 調べきれていない品種もあります。)

それでは、クラックウィローとセイヨウシロヤナギのどちらの柳だったかというと、「セイヨウシロヤナギ」だったのではないかと思われます。
グリーン・ゲイブルズの裏庭の描写で、住人の性格がある程度読み取れると書きましたが、グリーン・ゲイブルズの住人は2人で、裏庭の木もそれぞれこの2人を投影していると思われます。
マリラは、何にでもきちんとしている人で、身なりもきちんとしています。マシューは、内気ですが心に決めたら動かないところがあり、髪の毛は肩まで垂れ、肩は少し内側に曲がっています。
「セイヨウハコヤナギ」は、まっすぐに生えるスリムな木ですから、マリラに良く似合っています。
クラックウィローとセイヨウシロヤナギのどちらが、マシューに似ているかといえば、どうみてもセイヨウシロヤナギですね。
ただ、セイヨウシロヤナギはクラックウィローに比べて列に並べにくそうなのが難点です。

謎の「セイヨウハコヤナギ」については次回解説します。

でも、これで、グリーン・ゲイブルズの裏庭には、「セイヨウハコヤナギ」の列と「セイヨウシロヤナギ」がそれぞれ列をなして両側に生えていることがわかりました。想像力を働かせすぎたでしょうか。

アンならこういうかもしれません。
「想像力を働かせたの。セイヨウハコヤナギがマリラで、セイヨウシロヤナギがマシューだなんて、なんて素敵なの。そう思いません?」